昨日は佐世保で農業系大学生との交流でしたが、今日は佐賀女子短期大学の学生ボランティア部Sun-Kissedに所属している1年生お二人と、顧問の先生と4人で熊本県南阿蘇村へ視察に行ってきました。
南阿蘇村は東海大学の阿蘇キャンパスがあるのですが、熊本地震の際は阿蘇大橋の崩落などで1000人が一時孤立するなど甚大な被害を受けた地域です。
南阿蘇村で1000人が孤立 阿蘇大橋が崩落、土砂崩れで道路寸断【熊本地震】
※ニュースのリンクです。
今回は東海大学阿蘇キャンパスの学生団体「阿蘇の灯-あそのあかり」の学生さん達から自分の実体験や友人等の体験を、当時住んでいたアパートや下宿があった場所などを巡りながら話してくださいました。
すでに更地になったアパートや下宿の前で、倒壊した建物の写真を見せながら、当時の、地震発生の時にいったい何が起こっていたのか。
本震が襲ったあと、毛布を各自家から引っ張り出してきて、寒さをしのいだこと。
真っ暗闇の中で被災したので、夜が明けるまで被害状況が分からず不安だったこと。
通話が繋がるスマホを、皆で使いまわして家族に安否を連絡していたこと。
など、
当時の様子を震災直後の状況から東海大学の体育館でみんなで避難した状況など本当にリアルな内容です。また、今回来て頂いた学生の中には実際倒壊した建物の下敷きになり、救出された方もいらっしゃったので、救出されるまでの状況や心の動きなども本当に詳しく語って頂きました。
※崩落した阿蘇大橋の前で説明を受けている様子。
※道路わきには震災ゴミが残されているところも。
※アパートの駐車場では大きく地割れしている場所。
※手が回らないところではビニールシートがかぶせてあるところもまだまだ多いようです。
語り部の学生さんから当時の話を伺っている中で感じたことは、被災当時の学生たちと地域住民との連携が素晴らしくとれていたという事。
【学生たちは防災訓練などやったことが無かったが、本震の直後は下宿やアパート単位で自然と行動していた。そして「○○号室の□□君が見当たらない」と、行方が分からなくなっている学生の捜索をすぐに行う事が出来た】
【地域住民との連携をとれていたので「○○地区に足が不自由なお年寄りがいる」などの情報を把握していた為、学生から助けてもらった地域住民の方が少なくない】
【体育館で1000人が一時避難し孤立した時も、地域の大人と学生が連携して助け合っていたため、大きなトラブルなどは無かった】
これを可能としたのは、この南阿蘇村の特殊な状況が関係していたようです。
南阿蘇村は当時、学生8割、地域住民2割の人口比率でした。
学生は周辺の農家やお店などでバイトをしていたので地域住民としても学生は身近な存在であり、また小さな村だからこそ、地域皆が助け合って暮らしていました。
その為、学生間では○○君は大体○時~○時までは何している。休日は□にいる。などの把握はもちろん、地域の方がどこに誰がいるというのを知っていたそうです。
これって、これからの白石町の防災ビジョンそのものではないかと感じます。
大規模な防災訓練ももちろん大事ですが、まずはそれより先に、
隣に住んでいる人がどんな人か、自分が住んでいる地区にどんな人が住んでいるのか。
ここに重点をおく必要があるのではと思います。
人と人との繋がりの重要性。よく耳にする言葉ではありますが、それを実行していた南阿蘇村の当時の様子を聞いて改めて認識しました。
今回の話をしっかりと白石町の防災へと繋げてまいります。
「阿蘇の灯-あそのあかり」の学生さん達、本当にありがとうございました!
ちなみに、気になっていた避難所でのトイレ事情も聞いてみました。
なぜかというと、現在「小学校のトイレの完全洋式化」についての取り組みがいろんな地域で行われています。
なぜ洋式化するかというと色々と意見はあるのですが、その中の一つに
「和式を使ったことが無い子どもが増えているので、その子供たちがトイレを使えずに我慢する。子どもたちが安心してトイレを使えるように」
というものがあります。
では、子ども達は本当に和式のトイレを使えなくていいのでしょうか?
その疑問をぶつけてみました。すると、
「被災後は避難場所のトイレが使えなくなったり、使えた仮設トイレもすぐに満杯になったりしたので、外に仕切りを作って、そこで穴を掘ったりして簡易トイレを作っていました。もちろん草むらとかでする必要もあったりしましたので、和式タイプを使えないと本当に大変だと思います。」
との事。
小学校での完全洋式化と切り離してもいいのですが、
子どもたちが和式タイプで用を足すことが出来ない問題については、和式を無くすことで解決するのではなく、災害時の為にも練習をさせて、出来るようになる事が必要ではないか。
私はそう思います。
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